補助人工心臓(VAD)
重症心不全に対し、当科では補助人工心臓(VAD)を用いた高度循環補助治療を行っています。
補助人工心臓(VAD)について
心臓の機能が極めて悪化し、大量の強心剤投与を行っても血圧の維持が困難な状態(重症心不全)では、心臓を補助する目的で、次のような補助循環装置を使用します。
・大動脈内バルーンパンピング(Intra-aorticBalloonPumping:IABP)
・心肺補助装置(VA-ECMO)
・補助循環用ポンプカテーテル(インペラ)
IABP と
VA-ECMOは補助循環量、補助期間に限界があり、重症になれば、心臓機能の回復および全身血液循環の維持が十分に期待できません。そこで、当科では、侵襲が大きくなりますが、長期安定した強力な循環補助を行う「補助人工心臓」(VAD)を使用して救命を目指しています。
VADには、心臓機能の主たる機能を果たす「左心室」を休ませる補助人工心臓(LVAD)、「右心室」を補助する補助人工心臓(RVAD)があります。
以下では、体外式補助人工心臓(VAD)、植込み型補助人工心臓(LVAD)についてそれぞれご説明します。
体外式補助人工心臓 (VAD)
血液ポンプとして遠心ポンプ・カニューレ(脱血管・送血管)・コンソール(駆動装置)から構成されます。
治療の合併症(出血・血栓症・感染症))を起こさず、患者さん自身の心臓の機能が回復し、補助人工心臓が不要と判断されるようになれば、体外式VADを抜去する手術を改めて受ける必要があります。
なお、体外式VADを装着のままでは退院はできません。
植込み型補助人工心臓(LVAD)
一方で、植込み型LVADは、心臓移植への橋渡しとして使用され、患者さんは退院することができます。日本臓器移植ネットワークに登録されている心臓移植希望登録者数に比べ、ドナー数は圧倒的に少ないため、心臓移植までの待機期間は5年以上と長期にわたります。
長い待機期間を乗り切るために植込み型LVADがどうしても必要です。
また2021年4月からは、心臓移植申請登録をせずに、在宅での植込み型LVAD治療により最期まで全うすることも認められています。
構成は、体外式VADと同様ですが、ポンプを体内に埋め込む点のみが異なります。しかし、体外の電源装置とポンプを繋ぐケーブルが皮膚を貫くため、活動の自由度は制限されます。
当院では、体外式VADで良好な治療成績を得たことより、2020年より植込型補助人工心臓(LVAD)の治療を開始しました。
この治療法を行うにあたり、当院は、手術室・集中治療室・一般病棟を含め適切な設備と、十分な医療スタッフ(医師・看護師・臨床工学技士・薬剤師・リハビリテーション技士を含め)で対応できる体制にあります。